食いしばり(噛みしめ)・歯ぎしりの整体や治療、原因や対策について

こんにちは。大阪南森町・北浜エリアの整体院「はり灸整体治療院すずらん」院長 こうのです。

私は、18歳で治療院業界に入り、20年以上、心身の不調にお悩みの方と向き合ってきました。こりや痛みだけでなく、近年、食いしばりや噛みしめ、歯ぎしりをはじめとする自律神経症状にお悩みの方も多く臨床経験を積み上げてきました。

マウスピースなどで、ひとまず負担をやわらげ、リラックスさせてその場を凌いでいるものの、根本的に何かよくなる方法はないかと悩まれていた方が当院に通院されています。

食いしばり(噛みしめ)・歯ぎしりにお悩みの方は、顎の筋肉である咬筋を緩めるために逆効果になってしまうマッサージをし過ぎているという問題点に気づかされました。

そして、それを改善するための効果的な対処をおこなっている治療院が少ないことにも驚かされました。

「よく噛んで食べなさい」と、一度は言われたことがあるであろうこの言葉。

前歯で食べ物をかみ切り、奥歯でそれをすり潰すことは、消化吸収のため以外にも、重要な役割を果たします。私たち人間の「噛む」という行為は健康維持や脳の発達、骨の形成においても、とても大きな影響力があります。しかし、噛むことと、食いしばること(噛みしめること)は違い、心身に不調をもたらしてしまいます。

私も家族から「最近、寝ているとき歯ぎしりがひどいよ」といわれていたことがよくあり、そんな時は頭痛がでたり、疲労感がなかなかとれない状態が続いていたことを覚えています。

ですので、あなたの食いしばりや歯ぎしりにかかわる不安を少しでもやわらいで欲しいと思っています。

ここでは当院における食いしばり(噛みしめ)・歯ぎしりでについての捉え方や対処法、整体による治療について解説していきます。

食いしばり(噛みしめ)・歯ぎしりの症状について

食いしばり・歯ぎしりの症状についてご紹介していきます。

臨床上よくある症状の一例としては、

・気づくとあごに力が入って、噛みしめている

・以前から食いしばりが気になっている

・もう何年も歯ぎしりが続いている

・歯医者で奥歯がすり減っていると言われた

・いつも上下の歯が触れ合っている

・歯ぎしりのせいか、寝起きにアゴが疲れている

・力を抜くのが苦手

・熟睡感がなく、寝ても疲れがとれない

・家族に就寝時の歯ぎしりを指摘される

・よく頭痛がでる

・マウスピースを付けて寝るのがストレス

・ストレスが溜まるとまぶたがピクピクする

・できるだけ歯を大事にしたい

などがあります。

食いしばりや歯ぎしりには、他にも様々な症状がありますが、似たようなお悩みを抱えている方がたくさんおられます。

食いしばり・歯ぎしりが起こるということは、それによってストレスに適応していこうとしている自然な反応だったりするので、気にならない方もいるかもしれませんが、それらの症状が毎日、長時間続いたり、過度に負担が大きくなって慢性的になっていれば、様々な問題を引き起こすきっかけとなる場合もあります。

歯が割れる、歯周病の悪化などの歯の問題や顎関節症、肩こり、頭痛、慢性疲労などの自律神経症状です。

歯医者での、歯の負担を減らすためのマウスピースは、もちろん素晴らしいものですが、食いしばりや顎関節の問題を、ただの癖でかたずけてしまうのは、少々危険ですし、とてももったいないことです。

ストレスがかかっている兆候でもあるため症状が起きている原因や対策を知ることで、食いしばり・噛みしめ・歯ぎしりの症状は改善のサポートができると考えています。

歯の専門は歯医者であっても、顎関節の問題は顎関節だけが原因ではないことがほとんどです。顎関節も身体全体の一部であって、全身の姿勢や自律神経が関与します。

そのため、根本的な対策のひとつとしては、そのストレス・緊張状態が緩和できなくなった身体の内部環境を改善していく必要があるといえます。

食いしばり(噛みしめ)・歯ぎしりとは

「歯ぎしり」や「食いしばり(噛みしめ)」というと、実は思いっきり歯を食いしばる状態のイメージが一般的ですが、軽く歯を接触させているだけで歯には相当力が加わっています。これを、TCH(Tooth Contacting Habit)=(上下の歯を接触させている癖)といいます。患者さんはTCHの自覚はないことがほとんどであり、上と下の歯をギリギリと強くこすり合わせるような動きや、ぎゅっと強くかみしめる悪習癖までいき、自覚できている状態なら負担はなおさらです。

通常、上下の顎がリラックスしている状態であれば歯は当たらずに、本来のポジションである舌を上顎につけて歯は1〜2mm離しておかないといけません。
個人差はありますがこの上下の歯と歯の間に2ミリ程度のスペースを安静空隙(あんせいくうへき)といいます。

上下の歯の接触は日常では、会話、咀嚼、嚥下時に瞬間的に起こり、24時間の中で20分にも満たないとされています。

集中や没頭して、緊張状態が続くと気づかずに上下の歯を接触し続けてしまいがちで、それ自体はとても自然な行為ですし、代表的な歯ぎしりは中枢性のストレスに対する生体の防御反応としての生理的な現象であることが分かっています。ですので心配する必要がない場合もありますが、無意識に歯ぎしりをする力はとても強く、歯や顎関節に大きな負担がかかってしまいます。

特に睡眠時ブラキシズムと呼ばれる睡眠中の過度な噛みしめや歯ぎしりは、国際睡眠関連疾患分類で睡眠関連運動異常症に分類されています。

「過度の覚醒活動に関連する睡眠中の歯のグラインディングまたはクレンチングを特徴とする口腔異常機能」と定義されています。

このように、日中や睡眠時の食いしばり(噛みしめ)・歯ぎしりは、関連する症状が多岐にわたるため、早めに対処することが重要です。

一般的な原因として、ストレス・かみあわせの悪化・むし歯など口腔内の不具合、顎関節症があげられますが、骨格姿勢の問題を疎かにされている場合が多く、その改善策として、不十分な対応をなされていたり、その人それぞれの原因に適切な対処がなされていないのが、最大の問題点です。

病院や歯医者での診断、治療について

病院や歯医者にいくと、歯茎部の欠損や知覚過敏、口腔内の頬に歯並びに沿った線があったり、舌に波うったような型があり、変形していたりする状態で診断されます。ウェアラブル筋電計と呼ばれる測定器で、睡眠時に、どのくらいの回数・強さで噛みしめているか測って状態を把握されているデンタルクリニックも増えています。

特に食いしばりや噛みしめにお悩みの方はクリニックや病院で相談するも「精神的ストレス」や「癖」といわれ、「噛みしめないように意識すること」や自己暗示によってのリラックスや、スプリント療法(マウスピース)を提案されていたり、すでにマウスピースを使用している方も多いです。

「歯並び」や「かみ合わせの問題」として、矯正治療によっての改善を期待する選択も多いです。

食いしばり、歯ぎしりの原因

食いしばり・歯ぎしりの原因についてお伝えしていきます。

一般的な原因としては、

・スポーツや運動、集中を必要とする仕事

・ストレス

・かみ合わせや詰め物の不具合

です。

上記の2つは、日頃から、大きなパワーや緊張、集中が必要な時に、噛みしめるための自然な行為なのですが、それが習慣的になっていくことで、脳と神経の関連性が密接になり、過緊張になるスイッチが誘発されます。

そうすると、少しの刺激で緊張しやすくなってしまい、それが肩こり、首こり、顎まわりの筋肉(咬筋)の緊張を生み、負担を増大させていきます。

虫歯や詰め物の不具合は歯科医院などの専門機関で治療をおこなうことが必須ですが、かみ合わせに関しては、よく考えて欲しい部分です。

臨床上よくある食いしばり、歯ぎしりの原因

かみ合わせや顎関節の問題をよくしようとしてあごの周りだけをみていっても、なかなか改善していかないパターンがかなり多いのが現状です。

一度、目をつぶって立ってみてください。そして顎を上げたり、引いたりしてみてください。どこかのポイントで歯は接触するはずです。

要するに、かみ合わせの問題は、歯や顎だけでなく、姿勢や重心の影響も大きく受けるということです。身体全体をみて、どこに原因があるかを考えていくことが、とても大切です。

食いしばり(噛みしめ)、歯ぎしりの治療で逆効果になってしまうケア

原因は身体全体をみないといけませんが、シンプルに顎の筋肉である咬筋の筋緊張によって、顎関節の動きに問題がおこり症状がでてしまうことももちろんあります。

そんな時によくやってしまいがちな逆悪効果になってしまうケアとしては、「あごの筋肉をゴリゴリと揉む、マッサージする」です。

あごの筋肉はすぐ下に骨もあり、周囲に神経がひろがっていますし、関節の動きも特殊です。、ゴリゴリと揉むことで逆に緊張を強めてしまいます。

そんな顎の筋肉は適切な方法で緩める必要があります

当院での食いしばり、歯ぎしりに対しての考え方

ここまで、読んでいただき、お気づきかと思いますが、食いしばることは、とても自然な行為です。子供の歯の生え変わりの時期に、調整のため歯ぎしりしたり、食いしばったり。スポーツや運動、集中やストレスの発散など、緊張が必要とする場面もあります。重要なことは、緊張したいときに、緊張できて、リラックスしたいときリラックスできるかという、無意識でのコントロールができるかどうかです。

過度に負担がかかる食いしばり(噛みしめ)は、取り除いていくことが自然であり、その改善がさらに健康になっていくことへの大切なことだと考えています。

口腔内や顎関節以外にも、緊張のコントロールを司る自律神経と密接にかかわる姿勢に問題がないかは、丁寧に検査し、原因をしらべていくことが必要不可欠です。

当院での食いしばり、歯ぎしりの整体

当院での食いしばりや歯ぎしりの整体についてお伝えしていきます。

状態を確認、共有

症状やお悩みについてお話をうかがいます。
顎関節はもちろん、関連する背骨、骨盤、足関節などの動き、
神経の状態。筋肉の緊張、骨格の歪みを確認します。

これらの触診に加えて、IT検査機器と「フットプレートメタスキャン」を用いて、
姿勢と重心バランス、歩行時の動作と足底荷重圧、負担分析を行い、
どういった動きが制限されていて食いしばりに関わっているのかを分析します。

構造面の調整

顎関節の動きに異常があると、負担がかかりやすく、身体が歪んだり緊張しやすいため、筋肉や関節などの
顎関節含め全身の構造面の調整をおこなっていきます。

骨格の構造や可動域は個人差が大きく、背骨の歪みによって、固まっているからといって、
強い刺激や、ゴリゴリ揉んだりすると悪化する場合もでてくる関節です。
動かす方向も間違えば、逆に顎関節症みたいになってしまいます。
心地よく適切な刺激を加えて整えていきます。

身体の構造に問題があると、全身にはりめぐらされた血管や神経などの組織は、
正常に機能しない状態に陥ってしまいます。

神経伝達を整える

小脳のバランス機能や、位置感覚、筋肉の反射など食いしばりに関連する神経系をチェックし整えます。交感神経の興奮によるパターンが多いので、その機能を正常にするために背骨や脳神経系も調整します。

痛みや症状から回復していくには、脳、自律神経などの神経伝達のバランスがとても大切になっていきます。先ほどの身体の構造面を整えると、神経伝達がよくなっていくのはもちろんですが、神経系に直接的にアプローチできる整体法を取り入れていますので、その方法で神経伝達を促していきます。

体液循環の促進

心身を整えていくためには、体液循環はかなり重要です。この体液とは、血液はもちろん、リンパ液や脳脊髄液といわれる液体全般をさします。

人間の身体は水がほとんどを占め、血液が栄養素を運びますし、人間が生まれていく発生学的にみても身体は骨も含めて水(体液)から始まっているからです。

そして、この体液循環をよくしていくと、神経伝達も促進され、整っていきますので、とても大切な要素です。神経の伝達は、電気信号でおこなわれるため水が必要不可欠です。体液循環がスムーズにいくと体の免疫が上手に働くので体液にたいして整体でアプローチしていきます。

効果、状態を確認

効果がどのようにでているか、チェックしながら施術計画を進めていきます。
ご説明や、気をつける点やセルフケアの方法や方向性をお伝えします。
心身をよくしていく上で言い忘れたことや疑問点、不安に感じていることなどがあれば遠慮なく話してください。

治療を検討中の方へ

最後までお読みいただきありがとうございました。
こちらの記事を通して食いしばりや歯ぎしりから関連した痛みや心身の不調を改善する一歩になればとても嬉しく思います。

今回、お伝えしたように食いしばり、歯ぎしりのお悩みは、歯並びや顎関節の治療以外にも解決していく方法はあります。
一般的整体院や歯医者でも、身体全体のひとつとしての「あし(足、脚)の専門施術」をおこなっているところは
少なく、足裏からの重心までみて姿勢、そして動きまでみて治療していく臨床経験を積んでいる先生もごく少数になります。

今まで色々ためしても、よくならなかったとしても、一生涯つきあう大切な身体です。
あきらめずに、ご相談ください。

2024年6月8日